代車を有料で貸すのは違法?道路運送法80条の許可と罰則を条文で確認

整備工場や鈑金工場が代車を料金を取って貸すと、道路運送法第80条の「自家用自動車の有償貸渡し」に当たり、国土交通大臣(実際の窓口は運輸支局)の許可が必要です。許可を受けずに業として有償で貸すと100万円以下の罰金の対象になり、法人も罰せられます。この記事では、条文の原文、罰則、「無料なら大丈夫か」「ガソリン代だけならどうか」という境目、許可を自社で取らずに代車を有償化する方法を順に整理します。

代車の有料貸出が問題になる理由

整備工場が貸す代車は、ほとんどが白ナンバー(軽自動車は黄ナンバー)の自家用自動車です。自家用自動車を「業として有償で」貸すことは、道路運送法第80条で許可制になっています。レンタカー会社が「わ」「れ」ナンバーの車で営業しているのは、この許可を受けているからです。

つまり、車検や修理のあいだお客様に車を貸す行為そのものは問題になりません。問題になるのは、料金を取ることと、それを反復継続して事業として行うことが重なったときです。「1日2,000円で代車を出します」と店頭に掲げて継続的に貸す形は、条文の文言どおりに読めば許可が要る貸し方に当たります。

道路運送法第80条の原文

道路運送法 第80条

自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない。ただし、その借受人が当該自家用自動車の使用者である場合は、この限りでない。
2 国土交通大臣は、自家用自動車の貸渡しの態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除くほか、前項の許可をしなければならない。

ただし書にある「借受人が使用者である場合」は、車検証の使用者欄が借りる人になる形、つまりカーリースのような貸し方です。中国運輸局は、この形態は平成18年10月1日の法改正で規制の対象から外れたと説明しています。修理中に一時的に貸す代車は使用者が工場のままなので、ただし書には当たりません。

無許可で有料貸出をした場合の罰則

許可を受けずに業として有償で貸した場合の罰則は、道路運送法の第98条と第99条に書かれています。

条文内容刑・処分
第98条第17号第80条第1項の許可を受けずに有償貸渡しをしたとき100万円以下の罰金
第99条法人の代表者や従業者が違反したとき(両罰規定)行為者に加えて法人にも罰金刑
第81条第1項第4号許可を受けずに業として有償で貸し渡したとき6か月以内の期間を定めて自家用自動車の使用を制限・禁止
第97条第8号上の使用制限・禁止の処分に違反したとき1年以下の拘禁刑もしくは150万円以下の罰金、または併科

第80条違反そのものは罰金刑だけですが、使用禁止の処分を受けると、その車を代車にも業務にも使えなくなります。処分に従わずに使い続けると、拘禁刑を含む重い罰則に進みます。2025年6月の刑法改正で懲役・禁錮は拘禁刑に一本化され、e-Govの現行条文もその表記になっています。

このほか、無許可の有償貸渡しで処分を受けると、後からレンタカーの許可を申請したときに欠格事由に関わる可能性があります。国土交通省の通達は、申請日前2年以内に自動車運送事業経営類似行為で処分を受けていないことを許可基準に挙げています。

無料で貸す代車なら許可は要らないのか

条文が許可の対象にしているのは「業として有償で」貸す場合です。無料で貸すなら、文言の上では第80条の対象に入りません。整備工場が昔から代車を無料サービスとして出してきたのは、この読み方が前提になっています。

ただし、国土交通省や運輸局が「代車を無償で貸すなら許可は不要」と明文で示した文書は、2026年10月6日時点で確認できませんでした。運輸局のページは、レンタカー業を「自動車を有料で貸し出す事業」(和歌山運輸支局)、「料金を取るもの」(中国運輸局)と説明しているだけです。

ガソリン代や保険料だけを受け取る場合

迷いやすいのが「料金は取らないが、ガソリン代の実費や、代車用の1日保険の保険料だけ負担してもらう」という形です。これが「有償」に当たるかどうかについて、貸渡しを対象にした国の公式な解釈は見つかりませんでした。

近い資料として、国交省自動車局旅客課が令和4年10月26日に出した法令適用事前確認手続(ノーアクションレター)への回答があります。自動車小売業・自動車整備業の事業者と会員顧客が車を共同使用するサービスについて、次のように述べています。

国交省回答(令和4年10月26日)より

「共同使用料」についての設定が形骸化したり、日・時間単位だけで使用料の設定を行うような場合には「自家用自動車の共同使用」の適用範囲を超え、自家用自動車有償貸渡業との差はないものと考えられるため、車両の保有者は照会法令の許可を要する場合もある

この回答は共同使用についての見解で、修理中の代車を直接扱ったものではありません。回答書自身も司法判断を拘束しないと書いています。それでも、実費の名目でも日数や時間で料金を決めれば有償貸渡しと同じに見られうるという考え方は読み取れます。「実費だから大丈夫」と自己判断せず、管轄の運輸支局に確認するのが安全です。

代車の貸し方ごとの整理

貸し方第80条との関係注意点
無料で貸す(費用は工場負担)文言上は対象外(有償でない)公式の明文はない。事故時の保険は工場の契約次第
燃料を満タンで返してもらう料金の授受がなければ有償性は低いと考えられる公式解釈は未確認。精算額を決めて受け取る形は避ける
ガソリン代・保険料の実費を受け取る公式解釈が見つからない日数単位で決めると有償貸渡しと同視されうる(共同使用の回答)
1日○円の代車料を取る業として有償に当たる許可(自家用自動車有償貸渡業)が必要
わナンバー車として貸す(許可あり)許可の範囲内貸渡料金・約款の明示、貸渡簿、貸渡証などの条件を守る

表の2行目と3行目は、条文と国交省の回答から読み取った整理で、国が個別に示した基準ではありません。料金を受け取る運用を考えているなら、許可を受けた形に切り替えるほうが、後から説明に困りません。

許可(自家用自動車有償貸渡業)を受けるには

料金を取って代車を貸したい場合、正面からの方法は自家用自動車有償貸渡業の許可を受けて、代車を「わ」「れ」ナンバーのレンタカーにすることです。申請先は主たる事務所を管轄する運輸支局で、許可されると登録免許税9万円がかかります。中部運輸局は、許可までの期間を「概ね1か月程度」と案内しています。

許可を受けると、次のような条件を継続して守る必要があります。

  • 貸渡車に対人1人8,000万円以上、対物1件200万円以上、搭乗者1人500万円以上の自動車保険を付ける
  • 貸渡料金と貸渡約款を、事務所での掲示、ウェブサイト、書面のいずれかでお客様に明示する
  • 貸渡簿を備えて貸渡しの終了日から2年間保存し、運転者に貸渡証を携行させる
  • 毎年5月31日までに貸渡実績報告書などを運輸支局に提出する
  • 乗用のレンタカーは車検が初回2年・以後1年、定期点検は6か月ごとになる

要件の詳細は、自家用自動車有償貸渡業の許可要件で、通達の文言に沿って整理しています。

自社で許可を取らずに代車を有償化する方法

小規模な工場にとって、許可の申請と、その後の報告や貸渡簿の管理を自社で回すのは負担です。そこで使われているのが、すでに許可を持つレンタカー事業者の営業所として代車を貸す形です。

わにゃふるカービジネスでは、加盟した工場がレンタカー事業者の営業所になり、本部の許可のもとで代車をわナンバー車として有償で貸し出します。自社で許可を取る必要はありません。損害保険各社の代車費用特約(レンタカー費用特約)は、支払の対象を「わ」「れ」ナンバーのレンタカーとし、保険会社が手配または承認した事業者からの借り入れに限っています。工場が無料で貸す代車は対象外と明記している会社もあります。代車をわナンバー車にしておけば、お客様の契約内容と保険会社の承認という条件を満たす範囲で、特約の対象になりえます。仕組みの全体は代車とは?無料貸出をやめて収益化する仕組み、費用と効果は代車を収益化する3つのメリットにまとめています。

わナンバーそのものの決まり(取得の流れ、車検、税金)は、姉妹サイトのわナンバーを取得するにはで解説しています。

店頭やお客様への説明で気をつけたいこと

  • 「代車料○円」と書いたチラシや掲示は、許可を受けた貸渡しでない限り出さない
  • 無料の代車でも、燃料・傷・事故時の扱いは貸出前に書面で取り決めておく(代車の貸出同意書とチェックリスト)
  • お客様から「代車代を保険に請求したい」と言われたら、特約が支払うのは原則レンタカー(許可を受けた貸渡し)の費用である点を確認する(代車費用特約とは)
  • 判断に迷う運用は、管轄の運輸支局に事前に相談する

よくある質問

代車を有料で貸すと違法になりますか?
自家用自動車を業として有償で貸すには、道路運送法第80条の許可が必要です。許可を受けずに行うと第98条により100万円以下の罰金の対象になり、法人も罰せられます(第99条)。
無料の代車なら許可は不要ですか?
条文が対象にしているのは「業として有償で」貸す場合なので、無料で貸す代車は文言上は対象外です。ただし、国が無償の代車について許可不要と明示した文書は確認できませんでした。
ガソリン代だけ受け取るのはどうですか?
貸渡しについて実費の扱いを示した公式の解釈は見つかりませんでした。国交省は共同使用の事例で、日・時間単位で使用料を決めると有償貸渡業と差がないと述べています。運用前に運輸支局へ確認するのが安全です。
許可の申請先と費用は?
主たる事務所を管轄する運輸支局に申請し、許可されると登録免許税9万円がかかります。中部運輸局は許可までの期間を概ね1か月程度と案内しています。
自社で許可を取らずに代車を有償にできますか?
許可を持つレンタカー事業者の営業所として貸し出す方法があります。わにゃふるカービジネスでは加盟工場が営業所となり、本部の許可のもとでわナンバーの代車を有償で貸し出します。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月6日時点で確認したものです。保険の補償内容は契約や保険会社ごとに異なるため、実際の契約内容は各保険会社の約款・重要事項説明書でご確認ください。

無料の代車を、売上になる代車へ

わにゃふるカービジネスは、整備工場・鈑金工場が代車をわナンバーで有償貸出に切り替えるための仕組みです。レンタカー事業の許可は本部のものを使うため、自社で許可を取る必要はありません。収支の考え方と加盟条件をまとめた資料をお送りします。

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