代車で事故を起こした場合の対応と自己負担|誰の保険で何が出るかを整理

修理や車検のあいだに借りた代車で事故を起こした場合、自分の車の事故とは確認することが少し違います。代車は工場やレンタカー事業者の車なので、貸した側への連絡が要り、使える保険も「代車に付いている保険」と「自分の任意保険の他車運転特約」の2つが関わります。駐車中の損害やレンタカーのNOCのように、保険では出ずに自己負担になる場面もあります。この記事では、事故直後の手順、損害ごとに使う保険、自己負担が出る場面を、保険会社の約款と公的機関の資料に沿って整理します。

代車で事故を起こした直後の対応手順

代車で事故を起こしたら、まず次の順で動きます。自分の車の事故と違うのは、3番目の「代車を貸した工場への連絡」が加わる点です。

  1. けが人がいれば救護し、車を安全な場所に寄せて二次事故を防ぐ
  2. 警察に連絡する(相手のいない自損事故や小さな傷でも連絡する)
  3. 代車を貸した工場(「わ」ナンバーの代車ならレンタカーの営業所)に連絡する
  4. 自分の保険会社に連絡し、借りている代車での事故だと伝える
  5. 相手の連絡先と保険会社、事故の状況を控え、代車と現場の写真を撮る

国民生活センターは、レンタカーの傷や事故はその場ですぐ警察とレンタカー会社に連絡するよう勧めています。手続きをしないと保険や補償制度が適用されず、自己負担になることがあるためです。ニッポンレンタカーも、傷やへこみの大小、相手の有無にかかわらず事故扱いとなり、必要な手続きが取られていない場合は保険や補償が適用できないと案内しています。工場の代車でも、貸した側が保険を使うには事故の届出が前提になるため、同じように考えてください。

自分の保険会社に代車での事故だと伝えるのは、他車運転特約を使えるかどうかの判断に必要だからです。その場で相手と示談の約束をするのは避け、保険会社に任せます。代車の修理先を自分で決めるのも控えます。代車の持ち主は工場だからです。

代車の事故で誰の保険から何が出るか

損害の種類ごとに、使う保険の候補を表にしました。代車に付いている保険の内容は工場ごとに違うため、表は一般的な整理です。

損害使う保険の候補注意点
相手のけが代車の自賠責(傷害は120万円まで)、代車の任意保険の対人賠償、自分の任意保険の他車運転特約自賠責を超える分は任意保険から
相手の車や物の損害代車の任意保険の対物賠償、自分の他車運転特約自賠責は物損の対象外
自分や同乗者のけが代車の任意保険、自分の他車運転特約(人身傷害など)補償の範囲は契約による
代車そのものの修理代代車の車両保険、自分の契約の車両保険(他車運転特約の条件で支払える事故の場合)どちらもなければ自己負担になりうる
代車が使えない間の休業補償(NOC)多くの場合は保険の対象外レンタカーは約款で定額を請求されることがある

他車運転特約は、借りた車を自分の契約の車とみなして補償する特約で、ソニー損保と三井住友海上は修理工場の代車が対象になることを明記しています。東京海上日動のパンフレットは、借りた車の保険に優先して自分の契約から支払うと書いています。どちらの保険から先に出るかは契約で違うため、保険会社同士の調整に任せるのが基本です。

他車運転特約で対人賠償や対物賠償を使うと、等級は自分の車の事故と同じように下がります。ソニー損保のFAQは「等級が3つ下がり、事故あり係数適用期間が3年間加算されます」と説明しています。保険の仕組みの全体は代車の保険はどうなる?で詳しく解説しています。

代車の事故で自己負担が出る場面

代車の事故では、保険があっても自己負担が残ることがあります。公式資料で確認できた主な場面を挙げます。

場面自己負担になる理由確認した資料
駐車中、停車中に代車が傷付けられた(当て逃げなど)他車運転特約は運転中の事故に限られ、駐車中、停車中を含まない東京海上日動 約款、三井住友海上
自分の契約に車両保険がない他車運転特約で代車そのものの修理代は出ない各社の他車運転特約の説明
運転者限定や年齢条件から外れる人が運転した他車運転特約は契約の条件の範囲でしか補償しないソニー損保
わナンバーの代車でNOCを請求された修理中に貸せない分の休業補償で、免責補償に入っていても別に請求される国民生活センター、大手レンタカー各社の約款
わナンバーの代車で免責額を請求された大手レンタカーでは対物5万円、車両5万円の免責額があり、免責補償に入っていなければ負担する大手レンタカー各社の案内
相手のいない自損事故で代車を壊した代車の車両保険がなく、自分の車両保険も条件に合わなければ修理代を負担契約による

NOC(ノンオペレーションチャージ)は、レンタカーを修理するあいだ貸し出せない分の補償です。トヨタ、ニッポン、オリックスの各レンタカーは、自走して予定の店舗に返した場合2万円、自走できない場合5万円としており、タイムズはクラスによって最大10万円です。各社とも免責補償制度に入っていてもNOCは別に負担すると書いています。保険会社の代車特約でレンタカーを借りた場合も、あいおいニッセイ同和損保はNOCをお客様の負担と明記しています。

工場が自前で貸す代車(白ナンバーや黄ナンバー)について、NOCや免責の金額に公的な基準はありません。いくら負担するかは工場との取り決め次第で、取り決めがなければ事故の後に話し合うことになります。借りる前に聞いておくのが確実です。口約束では残りません。

日弁連交通事故相談センターの代車事故の相談事例

公益財団法人日弁連交通事故相談センターには、修理工場の代車で追突事故を起こした人の相談が載っています。工場からは「代車の修理代は請求しないが、任意保険に入っていないので、事故の相手への賠償は自分で行うように」と言われたという内容です。

回答は明快でした。要旨は次のとおりです。代車にも自賠責保険は付いているのが通常で、相手の人身損害は傷害で120万円まで支払われます。物損は自賠責の対象外ですが、相談者が自分の車に掛けている任意保険の他車運転特約で、相手の人身損害に加えて、相手の車の修理費や代車料などの物的損害も支払いを受けられます。

この事例から分かるのは、代車に任意保険が付いていなくても、すぐに全額を自分で払うことにはならないという点です。自分の保険会社に代車での事故だと伝え、他車運転特約が使えるかを確認するのが先です。逆に、自分の車に任意保険を掛けていない人や、特約の除外条件に当たる人は、自賠責で足りない分が自己負担になるおそれがあります。

わナンバーの代車(レンタカー)で事故を起こした場合

代車が「わ」「れ」ナンバーのレンタカーの場合は、貸した事業者の貸渡約款に沿って処理します。レンタカーには、許可の条件として対人1人8,000万円以上、対物1件200万円以上、搭乗者1人500万円以上の保険が付いています。そのうえで、約款に定めた免責額やNOCが借りた人の負担になります。

国民生活センターは2025年3月28日に「レンタカーでの傷トラブルにご用心-記録、確認、連絡!-」を公表しています。紹介された事例の一つは、フルカバー型の補償を付けていたのに、修理中の休業補償としてNOC 2万円を請求されたというもので、このときは店舗に車を持ち込んだ際に代車も提供されていました。同センターは、保険の補償額や免責額、適用の条件、事故のときの対応方法、NOCを事前に確認するよう勧めています。

相手のいる事故で相手に過失がある場合、自分の車の修理中に借りた代車の費用を相手に請求できることがあります。考え方はもらい事故の代車費用は相手に請求できる?、自分の保険の代車特約は代車特約とはにまとめています。

整備工場が代車を貸すときに決めておくこと

代車の事故で揉めるのは、多くが「聞いていなかった」という食い違いです。工場として、貸す前に次の点を書面で取り決めておくと、事故の後の話し合いが短く済みます。項目は6つです。

  1. 代車に付けている保険(自賠責、任意保険の有無、運転者の範囲、車両保険の有無)
  2. 事故のときの連絡先と、警察、工場、保険会社に連絡する順番(代車の車内にも置く)
  3. 代車の修理代のうち、お客様が負担する上限額(免責額)
  4. 修理中に代車を貸せない分の補償(NOC)を請求するかどうか
  5. 駐車中の当て逃げなど、他車運転特約が使えない損害の扱い
  6. 貸出時と返却時に、お客様と一緒に傷を確認して写真で残すこと

書式の例は代車の貸出同意書とチェックリスト、傷の扱いは代車の傷はどこまで弁償する?で扱っています。

わにゃふるカービジネスでは、加盟した工場がレンタカー事業者の営業所になり、本部の許可のもとで代車を「わ」ナンバー車として貸し出します。許可の条件である保険と貸渡約款が整うため、事故のときの負担を約款に沿って説明できます。詳しくはわにゃふるカービジネスの仕組みとよくある質問をご覧ください。

よくある質問

代車で事故を起こしたら最初に何をすればよいですか?
けが人の救護と安全の確保をしたうえで、警察、代車を貸した工場、自分の保険会社の順に連絡します。国民生活センターは、レンタカーの傷や事故はその場で警察と事業者に連絡するよう勧めています。
代車の事故で自己負担になるのはどんなときですか?
駐車中、停車中の損害(他車運転特約の対象外)、自分の契約に車両保険がなく代車の修理代が出ない場合、レンタカーのNOCや免責額などです。工場の代車の負担額は工場との取り決めで決まります。
代車の事故で自分の保険を使うと等級は下がりますか?
他車運転特約で対人賠償や対物賠償を使えば、自分の車の事故と同じように等級が下がります。ソニー損保は3等級下がり、事故あり係数適用期間が3年加算されると説明しています。
工場の代車に任意保険が入っていなかったらどうなりますか?
相手のけがは代車の自賠責で傷害120万円まで支払われ、それを超える分や物損は自分の任意保険の他車運転特約で支払われる場合があります(日弁連交通事故相談センターの相談事例)。
NOCとは何ですか?
レンタカーを修理するあいだ貸し出せない分の休業補償です。大手レンタカーは自走して返却なら2万円、自走できなければ5万円が基本で、免責補償に入っていても別に請求されます。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月6日時点で確認したものです。保険の補償内容は契約や保険会社ごとに異なるため、実際の契約内容は各保険会社の約款・重要事項説明書でご確認ください。

無料の代車を、売上になる代車へ

わにゃふるカービジネスは、整備工場・鈑金工場が代車をわナンバーで有償貸出に切り替えるための仕組みです。レンタカー事業の許可は本部のものを使うため、自社で許可を取る必要はありません。収支の考え方と加盟条件をまとめた資料をお送りします。

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